VUCAの時代に、一燈を掲げる
「一燈を提げて暗夜を行く。暗夜を憂うること勿れ、只一燈を頼め。」
これは江戸時代後期の儒学者、佐藤一斎の言葉です。
先の見えない夜道を進むとき、大切なのは暗闇を恐れることではなく、自分の持つ灯りを信じて進むこと。この言葉は、まさに現代社会の状況に通じるものがあります。
今、私たちは VUCA(変動性・不確実性・複雑性・曖昧性)の時代に生きています。技術の進歩、経済の変化、グローバルな課題……未来を正確に予測することが難しくなっています。そんな中で、私たちはどうすれば道を見失わずに進めるのでしょうか?
その答えのひとつが、「自らの一燈を掲げること」です。
AIの時代、一燈を掲げられるのは人間だけ
今やAIが急速に発展し、多くの業務が自動化されつつあります。情報の処理や分析、単純な意思決定ならAIに任せることも可能です。しかし、どんなにAIが進化しても、「どこへ向かうのか?」という問いに答えられるのは人間だけです。
私たちは、自分自身の「内発的な動機」に基づいて目指すべき未来を描き、行動する力を持っています。それは、AIには決して真似できない、人間だけの特権です。
VUCAの時代に迷わず進むためには、自分が大切にする価値観を明確にし、それを指針として進むことが必要です。これこそが、暗闇の中での「一燈」になるのです。
未来のビジョンを形にする「デザイン経営」
では、この「一燈」をどのように具体的な行動につなげ、未来のビジョンを形にしていけばよいのでしょうか?
その鍵となるのが、**「デザイン経営」**です。
デザイン経営とは?
デザイン経営は、企業の競争力を高めるために「デザインの力」を経営に活かす手法です。2018年、特許庁が「デザイン経営」宣言を発表し、経営の中核にデザインを据えることの重要性を提唱しました。
ここでいう「デザイン」とは、単に見た目の美しさではなく、「未来を構想し、価値を生み出す仕組みを作ること」を意味します。つまり、 「自分たちは何を目指し、どんな価値を提供するのか?」 を明確にし、それを実現するための戦略を設計することです。
経営デザインシートという道具
デザイン経営を実践するための有効なツールのひとつが、「経営デザインシート」です。
このシートを使うことで、
- これまで どんな価値を提供してきたのか?
- これから どんな価値を生み出したいのか?
- そのために どんな資源を活用し、どんな戦略をとるべきか?
といった視点で、自身の未来を具体的に描くことができます。
これは、まさに「一燈」を可視化する作業とも言えます。自分たちが大切にする価値を明確にし、それを形にするための道筋を設計することで、VUCAの時代にも迷わず進むことができるのです。

未来を創るために、一燈を掲げよう!
現代社会において、未来は不透明であり、誰も正解を持っているわけではありません。しかし、だからこそ 「自社が何を大切にし、どこへ向かうのか?」 を明確にすることが重要です。
「VUCAの暗闇を憂うことなく、自身の強み(唯一無二の個の力)を一燈とし、デザイン思考で未来を創る」ことこそが、企業の競争力を高める鍵なのです。
不確実な時代だからこそ、自らの一燈を掲げ、未来へと進みましょう!


