AI時代こそ、目指すものを打ち立てる人間力が重要

技術士業

AIの進化で求められるものとは?

近年、AI技術の進化は目覚ましく、多くの分野で活用が進んでいます。特に、プログラミング、設計、データ分析などの「HOW(どのようにやるか)」の部分はAIが担う場面が増えています。これは、AIが膨大なデータを解析し、最適な方法を導き出すのに長けているためです。しかし、この流れの中で見落とされがちなのが「WHAT(何を目指すのか)」という問いです。AIが得意とするのは手段の最適化であり、目的を定めるのはあくまで人間。AI時代だからこそ、何を実現したいのかというビジョンを持つ人間の役割が、より一層重要になっていると考えられます。

日本の強みを活かすために必要な視点

日本はもともと、江戸時代の都市計画や戦後の経済復興を見ても、全体を俯瞰し、長期的な視野で仕組みを作り上げる力=プログラムマネジメントが得意な国であったはずです。ですが、近年、日本の国際競争力は低下し、世界競争力ランキングでも低位に甘んじています。その要因は、ビジネスモデルの変化に適応しきれていない事ではないでしょうか。

従来、日本は「ものづくり」に強みを持っていましたが、世界は「価値共創」の時代に移り変わり、単に製品を作るのではなく、顧客とともに価値を生み出し続けることが求められています。

ビジョンを持つことの大切さ

VUCA(変動性・不確実性・複雑性・曖昧性)の時代では、従来の「計画を立て、それに沿って進める」プロジェクトマネジメント手法だけでは十分ではありません。これからは、ビジョンを掲げ、それに向けて柔軟に進むプログラムマネジメントが重要になると考えられています。

たとえば、日本のDX(デジタルトランスフォーメーション)が思うように進まない理由の一つとして、「仕組みづくり」よりも「技術導入」ばかりに焦点が当たっている点が挙げられます。AIを導入すればDXが進むのではなく、AIを使って何を実現するのか、その目的を明確にすることが必要なのです。

価値協創の時代に求められる人材

現在のビジネス環境では、単なる技術力よりも、価値を協創きる能力が求められているといわれています。「モノを売る」から「モノを通じたサービスを提供する」方向へシフトし、サービス・ドミナント・ロジック(SDL)という、単なる商品提供ではなく、顧客体験を重視したビジネスモデルが求められてきています。この新しいビジネスモデルの「目指すべきビジョンを持ち、価値協創の中心となれる人材」が成長戦略の要となるでしょう。

AI時代だからこそ、人間が主役になる

AIは人間の労力を大幅に削減し、作業の効率を向上させることができます。しかし、AIには「何を目指すのか」を決めることはできないと考えられています。目的を定めるのは、ビジョンを持つ人間の役割です。AI時代だからこそ、人間の創造力、統合力、リーダーシップがより求められるのです。

これからの社会では、AIを活用する力に加え、「自らビジョンを掲げ、価値を生み出す力」を持つ人材がリーダーシップを発揮し、そのビジョンを形にするためのプログラムマネジメントの重要性が、ますます高まっていくでしょう。

技術が進化するほど、人間の力が試される時代。だからこそ、私たちはAIを活かしながら、自らのビジョンを持ち、未来を創っていくことが求められているのです。

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