近年、世界の教育の現場では、子どもたちが未来社会で活躍するために必要な力を育むための様々な取り組みが行われています。その中でも特に注目されているのが、STEAM教育です。今回は、これらの教育モデルについて、ご紹介します。
まずSTEM教育とは?
STEMとは、Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Mathematics(数学)の頭文字を取った言葉です。これらの分野を統合的に学ぶことで、論理的思考力や問題解決能力を養うことを目的とした教育モデルがSTEM教育です。

例えば、理科の授業で実験を行い、その結果を数学的に分析したり、プログラミングの授業でロボットを製作したりすることが、STEM教育の実践例として挙げられます。
STEM教育は、2000年代初頭にアメリカで提唱され、オバマ元大統領の演説によって広く知られるようになりました。日本でも、2020年度から小学校でプログラミング教育が必修化されるなど、STEM教育の重要性が高まっています。
STEAM教育への進化
STEM教育は、科学技術分野における人材育成に大きく貢献してきましたが、近年では、AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)などのデジタル技術の進化に伴い、創造性の重要性がますます高まっています。
そこで、STEM教育にArt(芸術)の要素を加えたSTEAM教育が注目されるようになりました。STEAM教育は、芸術的な感性を育むことで、技術革新を促進し、より豊かな社会の実現を目指すものです。

例えば、デザイン思考やアート思考を取り入れることで、子どもたちの発想力や表現力を養い、新たな価値創造を促します。具体的には、プログラミングで作成したロボットにデザイン性を加えたり、音楽の授業で学んだことを活かしてオリジナルの楽器を製作したりすることが、STEAM教育の実践例として挙げられます。
音楽教育の可能性
芸術の中でも、音楽は人間の感情や思考に深く働きかける力を持っています。音楽教育は、子どもたちの創造性や表現力を育むだけでなく、協調性やコミュニケーション能力を高める効果も期待できます。
例えば、合唱や楽器演奏を通して、仲間と協力して一つの目標に向かう経験は、社会性を育む上で非常に重要です。また、音楽の授業で学んだことを活かして、プログラミングでオリジナルの音楽を作成したり、デジタル楽器を演奏したりすることも、子どもたちの創造性を刺激する良い機会となります。
近年では、音楽とプログラミングを組み合わせた教育プログラムも登場しており、子どもたちは音楽を通じてデジタル技術に触れ、新たな表現方法を学ぶことができます。

- 音楽と数学の関連:
音楽のリズムやメロディは数学的なパターンに基づいています。例えば、リズムを学ぶことで、学生は数や比率の感覚を養い、数学的思考を育むことができます。 - 音楽と科学の実験:
音の振動や共鳴の仕組みを学ぶ実験を通じて、物理学や工学の基礎を理解することができます。音楽を使った科学の授業では、音の出る仕組みを探ることで、学生は物理的な理解を深めることができます。 - 音楽とプログラミング:
音楽をプログラミング学習の導入として活用する事例もあります。例えば、音楽の構成を分析することで、プログラミング的な思考を養うことができる授業が行われています。楽器を作るプロセスや音楽の構造を理解することで、学生は創造力を発揮しながら技術的なスキルも身につけることができます。 - アンサンブル活動:
音楽のアンサンブル(合奏・合唱)を通じて、学生は協調性やチームワークを養います。グループでの問題解決を通じて、コミュニケーション能力も向上します。音楽を通じた協働的な学びは、STEAM教育の重要な要素です。 - 音楽とアートの融合:
音楽は芸術の一部として、創造性や感性を引き出す手段としても機能します。音楽を通じて自分を表現する力を育てることができ、学生は内面的なアイデアや感情を大切にしながら学ぶことができます。
デジタル社会と人間の感性
デジタル技術が進化すればするほど、人間の感性や創造性の重要性は増していくと考えられます。なぜなら、デジタル技術はあくまでツールであり、それを使いこなすのは人間の感性や創造性だからです。
例えば、AIが文章を作成したり、絵を描いたりすることができるようになっても、人間の感性に基づいた表現や、人間同士のコミュニケーションの中で生まれる共感は、AIには代替できません。
音楽や美術などの芸術体験は、人間の感性を磨き、豊かな発想力を育みます。STEAM教育において音楽教育を組み合わせることで、デジタル社会を生き抜くために必要な能力をバランス良く身につけることができるでしょう。
未来を担う子どもたちへ
これからの時代を生きる子どもたちには、デジタル技術を使いこなし、新たな価値を創造できる人材が求められます。そのためには、STEAM教育を通して、子どもたちの可能性を最大限に引き出す教育が不可欠です。
私たち大人は、子どもたちが未来社会で活躍するために必要な力を身につけることができるよう、様々な教育の機会を提供し、サポートしていくことが重要です。


